キジが、「遊ぼう遊ぼう!」って、窓際でパソコンをいじってる俺を呼んでいる、カメラを向けてもびっくりもしない、あげくに座り込んで時々俺のほうに顔を向けてくる、まったく・・・
うめがいなくなってそろそろ1年になる、これからは弥生と二人で旅の空の下に重きを置いて生きていこうって思っている・・・
人の邪魔をしないで人に邪魔されないで、人の理想や考え方を聞かないで人に自分の考え方や理想を話さないで生きていく・・・
旅に出るとき出かけたあと、俺は家や親兄弟を心配した事が無い、家は火災水害地震にあうこともあるし人に火をつけられることも外水栓の蛇口を開けっ放しにされることもあるしプロパンの栓をはずされることもあるかもしれない、そんなことを旅先で心配してどうなる、どうにもならねーだろう、家や財産が一瞬で消滅したからってどうってことはない、初めからまた始めりゃあいい、俺の命がひとつ弥生の命がひとつ残ってりゃあいい、それだけ・・・
親兄弟が大病したり危篤だと知らされたって帰る理由にはまるでならない・・・
文明が発達して人々は便利さを楽しんでいる、標高3000mを超えて酸素も薄い中パソコンやスマホを使って自分が戻る世界の情報を1分でも絶やすことを嫌がっている、家になにかあったら直ぐ帰国、親兄弟になにかあったら直ぐ帰国、勤め先になにかあったら直ぐ帰国、本当に馬鹿につける薬はねーってやつだ・・・
せっかく日々の生活を抜け出しているのにパソコンスマホで自分の首を絞めてる鰯の群れ、なんとかならねーんだろうか・・・
これからは行き先も決めない、帰りのチケットも持たない、誰にも知らせないで弥生と二人だけで旅を続ける・・・